私の家系は、私を含めると15代にわたり農業を営んできました。そのため、私も高校、専門学校と農業を学びました。その後実際に農業に携わっていく中で、育てる野菜や米の成長に合わせる生活や長時間労働の厳しさを実感しました。特に、野菜が大きくなりすぎて市場の規格に合わないと市場外流通になってしまい、その瞬間所得がなくなってしまうのです。20代前半で結婚し子供ができたこともあり、非効率な農業をもっと効率的な農業に変えないといけない、農家の仕組をもっと新しく変えることが日本の農業のためにもいいのではないかと考えるようになりました。

先代からの経営移譲はスムーズにできました。私は元々数字が好きだったため、親と一緒に農業をする中で数字を元に様々な提案を行っていました。実の親だからこそ自分のことを理解してくれていたこともあり、好きなように儲かる農業をやってくれということで両親から経営移譲をしてもらいました。

今になって過去を振り返ると、無駄なことも大変なこともひとつもなかったなと思います。いい経験を早くからさせてもらうことができました。

弊社の社是は、「未来の美味しいを創る。」です。食べ物というのは、二つに分かれると思っています。一つは簡単に言うと命を長らえるためのベース食料。もう一つは、晴れの日などお祝いの日に家族や仲間の会話が弾むような美味しい食事。我々はどちらにおいても美味しいものを安全かつ安価に供給していかなければいけない、究極・最高のクオリティを維持したい、と思っています。

今、新型コロナウイルス感染症によって世界の皆さんがまず自国の自給率を確実に担保しなければいけないというふうになってきています。これまでは自給率も大切だけどお金があれば大丈夫だという考え方だったが、コロナ禍でその考えが遮断されました。人間は食べないと生きていけません。我々はそこに最大の貢献ができるという素晴らしい道が見えました。

テクノロジー、AI、インターネットをはじめ様々な技術をフル活用した農業を突き進んでいき、安定期的に美味しく安く提供することを実現していきたいです。

経営者になったばかりの頃は経営というものが本当にわかっていませんでした。農家はほとんどが事業主なので、色々な我慢や問題というのは事業主に直接降りかかってきますが、会社を経営するとなると、従業員たちの物心両面において責任を持たないといけないということになります。責任とは何かを突き詰めていくと、全従業員の貴重な時間を買い取るということになります。また、一年、そして一生における将来性、期待値もあります。そう言った無形の時間や期待にどうやって答えていくかというところにピントが合っていませんでした。そこから経験を積む中で、現在はリーダーシップ力、責任の取り方、そして皆さんとの契約を最大化していくことが大切なのだと思っています。

また、いろんな方々と出会う中で、最高だ、尊敬するという人に出会ったらメンターとして近くで学ばせていただいています。そしてそこで学んだことや遺伝子を社内の次の経営者たちに引き継ぐようにいています。