私は、ドラッグストアを経営している父の元、第３子として生まれました。そのため、後継というわけではありませんが、小さい頃から自分は将来経営者になるように育てられてきました。しかし、高校生時代の私は、その使命を背負いすぎた部分もあったのか、気質なのか、反発心から学校を辞めてしまいました。その後、テレビ番組で大検（現在は高等学校卒業程度認定試験）という制度を知りました。そして受験し合格し、親と同じ薬科大学に進んで薬剤師の勉強をしました。小さい頃から経営者の父を見てきたこともあり、一度は道を外れましたが、家業の力になりたいという思いがありました。高校を辞めた後、人よりも自由な時間を過ごし、いろんなことを経験することができたので、社会への意識は人より早く身についていたような気がします。
大学卒業後は他社で３年間働いたのち、家業のために戻り、薬剤師として勤めながら新規事業を立ち上げる仕事をしていました。ドラッグストアの中に運動施設を作るなど、会社が広がる可能性を模索しながら様々な事業を立ち上げていました。
2014年にドラッグストアの2階に介護施設を作るというプロジェクトが立ち上がり、そのプロジェクトを運営するための新会社を設立しました。現在は実際に介護施設を開設し、運営しています。また、2017年には、家業であるドラックストアがウェルシアホールディングスの子会社化することになり、その翌年に自分のやってきた新規事業と、介護事業をすべて一緒にして別会社「株式会社いきいき」を立ち上げました。現在は株式会社いきいきと本業であるドラックストアの２社の役員をしています。

企業理念は『福祉と高齢者と地域を繋ぎ、皆様がいきいきできる社会の実現』、ビジョンは『安心・安全に尽くすこと、利用者様の可能性を信じ、最大限活かすこと、尊厳を大切にし、その人らしい人生を送れること』、そして『努力、人間力とチャレンジマインド』を行動指針としています。
ドラッグストアでは薬や化粧品など外から摂るもので自身を健康に綺麗にという考え方ですが、弊社では内側から人がげんきになる、いきいきするようなものを事業として行っています。「今日より明日生き生きとした未来を創る」という考えを大事に、地域に根差しながら、地域の明日、従業員の明日、そして利用してくださるお客様の明日の価値が、より輝くよう、彩るべく事業を行っています。

今後の展望としては、現在、国のモデルにも採択をされた次の施設の計画を実現させることです。この計画では、一施設ではなく、子供やお年寄り、障がい児、そして地域の方といった、みんなが行き交うような小さな町を実現したいと考えています。具体的には、高齢者の住む、サービス付き高齢者住宅とデイサービス施設、障害児を預かる施設、あとは小学生にステム教育を教える民間の学童塾、そして地域の方が集まるカフェ、それぞれをみんなが行き交って交流を生み出せる、そんな場所を作りたいと思っています。

まずはこれを高齢化1位で少子高齢化の進んでいる青森で実現し、未来の課題へ一石投じたいという思いで進めています。そしてこの場所を通して、地域の方の福祉というものの垣根を下げていきたいと考えています。少子高齢化が進むと必然的に福祉・介護というものが身近になると思いますが、やはりまだハードルがある気がするので、それを下げ、裾野を広げていくというのも私たちの役割なのかなと思っています。2023年に施設が竣工しますが、いずれこういったスキームが広がれば、もっと地域の福祉や介護施設、そして地域住民がより通じ合えるのではないかと思っています。

従業員にとにかく楽しんでもらうということに重きを置いています。フランチャイズ事業部では、みんなで運動会をやったり、誕生会をやったり、店舗を越えた横のつながりを必ず毎月作っています。介護施設に関しても自分たちだけではなく、外部から人を呼んで催物をやったりしています。遊び心や無駄みたいなものを持ちながら楽しんでいくということが大事だと考えています。
また、従業員の提案はなるべく前向きに考えていくようにしています。経営尺度から考えるのではなく、皆の声を少しでも拾い上げて、良いと思ったものを採用していくことは大事にしています。

私自身が心がけていることは、１番の冒険者であることです。経営者というのは従業員とは少し違う世界を見ています。その中で自分が知ったことを従業員に伝え、可能性を広げるお手伝いができればと思っています。経営者は、時間や人脈などを従業員に比べて圧倒的に持っていると思います。だからこそ、経営者が内向的になってしまうと、大切な３つの資産の使い方も内向きになってしまうので、それは従業員にとってもいいことではない思っています。私自身も、いろんなことに興味を持って貢献するということが好きな人間なので、自分の強みを生かして社員に何か共有できないかということを大切にしています。

モデル事業の立ち上げが2021年から始まっており、2022年にはそれぞれ工事が始まります。介護部門は既存事業としてありますが、カフェや塾といった部門は初めてなので、コンセプトづくりやブランディング立ち上げを一緒にやってもらいたいと思っています。もちろんそこの選任だけではなく、最終的に目指す、みんなが行き交う施設の実現のため、イベントを仕掛けたり、他の地域の商業施設と絡んだりしていきたいという考えがあるので、VFJを通して入社した方には、専任の部分と、ソーシャルで行き交いしながら考えるという役割をお願いしたいなと思っています。

私自身、新卒で福岡の会社で３年間働いていた時に、地域のコミュニティや人の繋がりが非常に使えたし、そこによろこびを見出せたという経験があります。所縁の無い地域とはしがらみのない世界なので、自分自身の本質を出すことができ、そして、高められる条件だと思っています。今回青森というところを選んでもらえれば、きっと自分としがらみのない地域なので、本来の力を高めていただけると思っています。