私は29歳で先代の祖母から経営を引き継ぎ、今年で25年目を迎えました。父親は私が10歳の時に交通事故でなくなり、祖母から社長を受け継ぐ形となったため、当時は実力・実績、そして経営者としての人格もまだまだ伴っていなかったと思います。

また、社長に就任した2000年前後は、外的要因も含め漢方業界にとっても自社にとっても大きな混乱の時期でした。それまで右肩上がりだった売り上げは大きく下落し、社長就任のスタートは順風満帆とはとても言えないものでした。

業績が下がり社内の混乱をどう収めようかと悩む中で、私は１つ大きな気付きを得ました。それは「自分の身の周りに起こっていることは、自分の心の投影だ」ということです。当時、うまくいかないことに対して、心のどこかでそれを人のせいにしたり、環境のせいにしていた未熟な自分がいました。

自分の考え方に疑問を持っていなかったんです。でも本当はそうではなかった。自分自身が考え方を変えると結果は自ずと変わる、自分の力で未来を変えることができるのだと、知りました。

そして全てのことに対する感謝の気持ちも湧き起こりました。自分自身がゼロに戻るような経験を経て、今ある環境への有難さ、そして意見や考え方の異なる社員もみな仲間であり家族だと考えるようになりました。

家族同士、喧嘩している場合ではない。大家族の父親として家族みんなで良い方へ向かえるようなモノ・ココロ両面の幸せを追求できるような企業であろうと思ったのです。

大峰堂の企業理念である「全従業員の物心両面の幸せを追究するとともに、併せて全人類の社会福祉に貢献する」というのはその時に作ったものです。

人には生まれ持った権利があります。その権利とは「ささやかな夢を見たい」「豊かな夢を実現したい」ということです。大それた夢でなくていい、本当にささやかな「毎日健康で暮らしたい」「家族が幸せでありますように」というような。

もちろん大きな夢を見る人もたくさんいますが、それもささやかな「健康」というベースがあってこそ夢の実現の第一歩になると思っています。そして、夢は1回実現してそれでおしまい、というものではなく持続的、継続的に発展してほしいもの。

だから「夢を見る」という権利を担保するために「健康である」権利をみんなが持てる社会を作りたいと考えています。

幸せになる権利を持つ人、つまりそれは全人類であり、より多くの人の社会福祉に貢献できる取り組みを目指しています。

実際に、お客様から「漢方のおかげで家族との穏やかな生活が取り戻せた」「理想の日常に近づいた」というようなお言葉を頂く度、本当に嬉しくなります。

漢方は天然物からできているため品質を安定させることは容易ではありませんが、大峰堂は技術革新により品質の安定を図り、さらには全人類に手の届く価格でよりよい製品を提供し続けたいと考えています。

高齢化や人口減少により、市場の変化が捉え辛いこれからの日本。

大峰堂は、今ある漢方薬を安定的に提供しながら、それだけに留まらない次なる技術進化や新たな事業の構想も考えています。例えば、漢方を製品化する際に天然物から有効成分を抽出する高度な技術を利用した用途の拡大などです。「健康維持」や「病気を未然に防ぐ」ことを中心に、全人類の健康をサポートできる新たな事業の可能性を模索し続けています。

大峰堂に入社していただく方には、先述した新たな事業の推進に取り組んでいただきます。経営者だけでなく、開発・研究チームや社外の方とも協力して事業を推進していただきます。

また、組織内の改革も行っていただきたいと考えています。社内が一体となり、それぞれの業務に集中し、協力して取り組めるよう、ITインフラの整備から評価制度の見直しまで、現場の方の声を聞きながら改革していただきたいと思います。

大峰堂には製造部門から研究者、バックオフィス、経営陣など様々な人が一緒に働いています。組織内に入って様々な立場の人からフラットに意見を聞ける人、組織を変化させる発想力や新たなものを作り出す気概のある方と、ぜひご一緒したいと思います。

そして、やりたいことをするのではなく、なりたい自分になってもらいたい。未来の「なりたい」自分をイメージしながら取り組むと、その姿勢は180度変わります。あきらめずに努力することも大切です。大峰堂の中で新たな種をまき育てていく、その経験はきっとあなたの血肉になると信じています。