第05期
大山和輝
卒業フェロー(VFJ→起業)
「奄美を帰ってきたくなる島にしたい」という想いを胸に、VENTURE FOR JAPANへ参加した大山氏。茨城県の人材紹介会社で2年間、人と企業に向き合いながら事業や経営を実践で学び、現在は地元・奄美で六次産業事業を立ち上げている。VFJでの経験は、現在の挑戦にどうつながっているのか。
大山和輝
端的に言うと、自分のやりたいことに最短で近づける方法だと感じたからです。僕は出身地である奄美大島を「帰ってきたくなる島にしたい」という想いを持っています。奄美大島は唯一無二の海や自然、大らかに生きる人々など多くの魅力を持つ島ですが、ピーク時の人口から現在は約半分(5万人台)に減少しています。理由として、大学が無く、雇用機会も少ないため、高校卒業後は島から出て行く若者が多く、そのまま他の地域に定住してしまうことが挙げられます。この流れをなんとかして変えたいと思い、「奄美に雇用が生まれて、生活できる環境がある」事が大切だと考えました。
そのためには、地域で事業をつくる力や、人を動かす力、経営の視点を身に付けたいと考え、実践の中でそれを学べるVFJに参加を決めました。
大きく3つあります。1つ目は、地域課題をマクロな視点で捉えていると感じたことです。2つ目は、人とのコミュニケーションを通じて価値を生み出す仕事だったこと。3つ目は、経営者の近くで仕事ができる環境だったことでした。入社したクランカンパニーは茨城に特化した人材紹介会社で、地方から若者が流出していく課題に向き合っていました。その構造が、奄美の課題とも重なって見えたんです。
また、クライアント層が社長や経営層だったため、自社だけでなく他社の経営に関わる部分を直にかける環境だったも魅力的でした。自分のやりたい事がまだ具体的に定まっていない時期だったので、経営に近い人の話を聞く事で思考が整理され、人としても成長できるだろうなとダイレクトに感じていました。
大きく分けると、「転職希望者の支援」と「企業の採用支援」の2つに取り組んでいました。転職希望者の支援では、スカウトから面談、求人提案まで一貫して担当していました。単純に条件に合う企業を紹介するのではなく、「将来どうありたいのか」「どんな人生を送りたいのか」までヒアリングしながら、その人に合う選択肢を一緒に考えていました。
企業支援では、経営者や人事の方と打ち合わせを重ね、「どんな会社を目指しているのか」「どんな人材が必要なのか」を深く伺いながら採用支援を行っていました。求職者との面談も行いながら、企業開拓も行いました。人と企業、両方に向き合う経験ができたことは良い経験となりました。
当時特に悩んでいたのは、「お客様が本当に求めているものは何か」を十分に引き出せていないと感じていたことです。どうすれば価値を提供できるのかを考え続けていましたが、思うように結果が出ず、担当していた企業様を十分に支援できていないと感じる場面もありました。そのたびに、「自分の行動の何を変えればもっと良い支援ができるのか」を試行錯誤し続けていました。
また、ビジネスには正解がないことも、この2年間で強く実感しました。理想を追いかけたい気持ちはありましたが、事業である以上、現実とも向き合わなければなりません。本当はすべての企業を支援したいと思っていても、それは現実的ではない。綺麗ごとだけではビジネスは成り立たないということを、現場での経験を通して学びました。
人を相手にする仕事だったので、昨日と言っていたことと今日言っていることが変わっている、ということが実は多かったんです。僕自身は、一度決めたらあまり意思を変えないタイプだったので、最初は価値観の違いに戸惑いました。
ただ、そこで自分の考えを押し通すのではなく、「まず相手を理解する」ことを意識するようになりました。話を聞いていくと、「確かにそういう考え方もあるな」と思えるようになっていったんです。結果的に、人の多様性を理解する力が身についたと思います。
モチベーションについては、「誰かが変わるきっかけになりたい」「困っていることを解決したい」という気持ちがずっと根底にありました。「この人のためなら何でもやる」という感覚が、自分を動かしていたと思います。他にも、目的を意識して行動できるようになってきたと自分自身の成長を感じられたことも、日々の原動力になりました。
僕のメンタリングを担当してくださった方は、大企業で部長をされていた方でした。物事を大きく捉える視点や、高い視座での考え方をたくさん教えていただいたのが印象的です。特に、「仕事をゲームのように捉えるといい」という言葉は今でも心に残っています。ただ頑張るだけではなく、自分なりの面白さを見つけながら取り組む。その考え方は、今起業してからも活きています。
研修では、実際に起業している方々の話を聞けたことが大きかったです。なぜその事業をやるのか、どんな想いで取り組んでいるのか。その熱量に触れて、「起業する人はここまで本気なんだ」と実感しました。また、ロジカルシンキングや定量分析なども体系的に学ぶことができ、仕事だけでなく日常の考え方にも活きています。
自分の中では、「ビジネスとは何か」を本当の意味で実感できた2年間でした。転職希望者、企業の人事、経営者など、さまざまな立場の方と話をする機会が多くありました。企業側には経営課題があり、働く側にもそれぞれの想いや悩みがあります。その両方を見ながら、「どうすれば前に進めるのか」を考え続けた経験は、自分にとって大きな財産になりました。
また、僕には3人の同期がいたのですが、彼らは「仲間」というより「同志」という存在でした。新卒と中途など経歴も歩んできた道もそれぞれ違いましたが、不思議と将来やりたいことや大切にしている想いには、分かり合える部分がたくさんあって。だからこそ、何を話しても刺激があり、お互いを高め合える関係だったと思います。同期に出会えたことも、VENTURE FOR JAPANに参加して本当によかったと思える理由の一つです。
最初にお話しした通り、奄美大島に雇用を生みたいという想いがあり、現在は鹿児島県・奄美市で、六次産業の事業をしています。自分たちで島生姜やウコンを育てる農業の部分から加工、製造したクラフトコーラの販売までを一気通貫で取り組んでいます。奄美の自然資源を生かしたものづくりで地域を日本や海外とつなぎたいと考えています。
私の手がけるクラフトコーラは、炭酸だけでなく、お酒やジュースで割るなど、自分らしい楽しみ方ができる商品です。瓶のデザインにもこだわっており、「飲む時間」も「飾る時間」も楽しめる商品を目指しています。ただ消費されて終わる商品ではなく、奄美から生まれるプロダクトが暮らしの中に残り、長く楽しんでもらいたい。そんな想いを込めてつくっています。奄美大島を日本中、世界中の人たちに知ってもらえるよう日々頑張っています。
就活って、「どの企業に入るか」を考えがちだと思うんですけど、自分は「何を実現したいか」を大事にした方がいいと思っています。その目的に近づける環境はどこなのか。どんな経験ができるのか。そこを軸に考えると、選択は変わってくると思います。
VENTURE FOR JAPANは、挑戦したいと考えていた僕にとって本当に実践的な環境でした。もし、自分の将来に本気で向き合いたいと思っているなら、一度飛び込んでみる価値はあると思います。
2年後の自分は、
今日の挑戦で変わる。
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