事業撤退からの再スタート。
新規事業で循環する地域経済を!

01

山口俊貴

卒業フェロー(VFJ→在籍継続)

「将来、起業できるだけの力を身につけたい」と、VFJの1期生として岩手県釜石市にあるマルワマートに入社した山口俊貴氏。2019年に入社し、VFJの2年間を卒業後も企業に残って地域を巻き込んだ事業を展開しているという。山口氏はどんなキャリアを築いているのか。

入社2年目に、推進していた事業の撤退が決定

VFJの2年間で挑戦したことを教えてください。

僕はVFJの1期生として、岩手県釜石市にあるマルワマートに入社しました。マルワマートは食品を取り扱う会社で、スーパーマーケットから派生する形で、宅配事業や店舗事業を展開していました。

その中で僕が興味を持ったのが「シェフズ弁当宅配事業」です。

これはUber eatsや出前館のような宅配サービスで、それを都心部ではなく地方で展開していたことに魅力を感じ、このモデルを成功させて全国展開したいと思ったんですね。

そこで、経営企画として事業推進に取り組んでいたのですが、入社から1年が経った頃に撤退が決まり、入社2年目からは撤退の処理や事業再建に取り組むことになりました。

なぜ撤退したのでしょうか?

地方は住宅が密集していないため配送効率が悪く、人件費が収益を圧迫する状態で赤字が続いていたんです。

何が問題なのか、どうすれば解決できるのかを知るために現場に入ったところ、経営と現場に乖離があることがわかりました。

経営サイドは、お弁当を通してお客さまに幸せになってほしい、地域をつなぐツールとしてのお弁当とは何かを考えていたのですが、それが現場にうまく伝わっていなかった。

お弁当を届けるだけじゃない、その先にある価値を提供したかったのですが、現場はお弁当を作ることに終始していたため、悪循環が続いていました。

だから、赤字を解消させるために事業を撤退し、マルワマートの思いを伝えられる事業として再建するために、ビジネスモデルを見直しました。

VFJの良さは、社内に閉じず視座を高められること

事業撤退はなかなか経験できることではない上に大変だったと思います。そんな中、VFJのサポートがあって良かったことはありますか?

地方の中小企業にいると、ライバルや同僚、上司がほとんどいないので、自分は何を目指したらいいのかがわからなくなることがよくありました。

でも、VFJの半年に1度の研修で、メルカリ会長の小泉文明さんや、READYFOR代表の米良はるかさんたちに出会い、自分がなりたい姿を明確にできたのは本当に良かったと思っています。

それに、社内に同僚がいなくても、VFJの1期生と定期的に相談し合っていましたし、VFJの皆さんにもいろんな悩みをぶつけられました。社内に閉じず、社外でいろんな人に相談できたのはVFJの価値だと思いました。

VFJの卒業時に、僕が尊敬しているIGPIの冨山和彦さんから「泥臭さを大事にしなさい」と言われたときは、現場で泥臭くやってきた2年間は間違いじゃなかったと自信を持てましたね。

現場に入ったからこそわかったことがある。

そうです。もし大企業に入社してマーケティング部門に配属されていたとしたら、きっと僕はマーケティングの仕事しかしなかったと思います。

でもマーケティングが成り立つのは製造部門が良いモノを作っているからで、マーケティングが優れているからモノが売れるわけではないんですよね。

事業責任者としてモノを作ってお客さまに届け、その反応を製造に生かすという一連の経験は、僕の視座を高めてくれました。

お弁当を販売するイベントに行列が!

山口さんはVFJの2年間を卒業後もマルワマートでのキャリアを継続されています。その理由を教えてください。

僕は最初から2年間でマルワマートを卒業する気はなかったんです。将来起業するときに後悔しないよう、マルワマートでちゃんと成果を残したいと思って、キャリアを継続させました。

現在はどのような挑戦をしているのでしょうか?

結局、事業撤退の処理に2年がかかり、入社4年目から事業を再スタートさせるための挑戦を始めました。現在展開しているのは、地域の飲食店を巻き込んで、お弁当やスイーツ、お惣菜を販売するイベントの企画・運営です。

たとえば、3月ならひなまつり、7月なら七夕、12月ならクリスマスといった具合に、季節にちなんだ企画や、独自の企画を考えて、飲食店にはその企画に特化した特別なお弁当を毎月作ってもらって販売しています。

複数の飲食店との調整は大変ですが、お客さまは毎月異なる特別なお弁当を待っているし、飲食店も季節ごとに違うメニューを開発できるから刺激になっていると聞きます。

マルワマートの思いを地域の飲食店やお客さまに伝えることで、サービス以上の価値を提供できたら嬉しいですね。

お客さまからの反響はいかがですか?

実は、店頭に行列ができるほど多くの方に興味を持っていただけています。

行列はすごいですね。口コミ等で広がったのでしょうか。

いえ、ジャパネットたかたの創業期に、ラジオでカメラを紹介したところ50台売れたという話を知って、それを参考にイベント告知をしたんです。

しかも、ジャパネットたかたは単にカメラの性能を紹介するのではなく、カメラがある生活や、お子さんやお孫さんの今を綺麗に残せることなど、カメラの先にある価値を伝えていたんですね。

だから、単にお弁当を紹介するのではなく、イベントやお弁当が提供する価値を伝えられるよう、自分でラジオ風に音声を録音し、イベントの2週間前から店頭で流し続けました。

その結果、イベント当日は200〜300人が来店されて、500〜600個のお弁当が売れたんです。このとき出店いただいた飲食店は10店舗と多く、1店舗につき1種類のお弁当やスイーツを考えるのは大変でしたが、とてもやりがいを感じました。

新しい事業で、地域経済を循環させる

山口さんは、イベントを通じてどんな未来を描いていますか?

イベントが釜石の人や企業、飲食店をつなぐ“ハブ”になり、循環する地域経済を作れたらいいなと考えています。

そのためにも、僕らは飲食店から納品されたお弁当は全て買い取っているんですね。売れ残りが出ると赤字になりますが、売れ残りが出ないように緻密に分析・改善を繰り返しているので、現在の廃棄率は1%未満です。

地域の飲食店が作る特別なお弁当を求めて、地域の人が集まるイベントとして定着すれば、お弁当以上の価値を感じられる場になれるのではないかと思っています。

これから本格的に事業としての成功を目指すのですね。

そうです。地域でお金が循環する仕組みを作れたら地域にとってプラスですし、何より地域の人たちの誇りになると思うんですね。

撤退の処理を任せてもらったことで、新しい方向性を見出せた事業なので、時間がかかってもいいから成果を出したいと考えています。

山口さんの目指す姿について教えてください。

僕は経営者になってお金を稼ぎたいのではなく、立ち上げた事業によるインパクトが欲しいことに気付いたので、シェフズ弁当事業を成功させて、ゆくゆくは自分の事業として責任を持って展開し、地域に貢献したいと考えています。

事業を通じて人間としての価値も高められるよう、挑戦し続けたいです。

最後に、VFJにエントリーを検討する人に向けてメッセージをお願いします。

僕は、東京一極集中の時代は終わったと思っています。本当に自分を成長させたい、社会に貢献したい、必要とされる人間になりたいと思うなら、地方の企業に目を向けるべきだと思うんですね。

僕自身、VFJを選択しなかったら今の僕は当然いないと思うし、今の視座を得るにはもっと多くの時間がかかったはずです。

自分のキャリアや人生は自分で模索して掴み取ることが大切だと思うので、VFJに興味を持ったなら、勇気を持って飛び込むのも良いと思いますよ。きっと、人生が変わるはずですから。

entry/contact

2年後の自分は、
今日の挑戦で変わる。

エントリーは、面談・ご相談からスタートします。
担当者がお話を伺いますので、お気軽にご連絡ください。